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「とりあえず、せっかく来たんだし、少し聞いていくか。」
制服姿だとまずいといういうことで、須賀さんのジャケットを借りて、フロアの一番後ろに立った。
ほとんどの観客は前の方に固まっていたけれど、後ろの方は、一人で参加している人たちが、思い思いの場所で音楽にのっていた。
今出ているバンドも、そう悪くはない。
たぶん、この中でだったら、俺の腕でも十分やっていける気がする。
だけど。
そんなモヤモヤした気持ちが顔に出てしまっていたのだろうか。
「きみ、一人?」
見るからに、社会人っぽい女の人が近寄ってきた。興味津々な顔で、舐めるように見る。・・・肉食系女子ってやつか?
「いえ、知り合いと一緒です。」
嘘だけど。
あえて無愛想に言って、その場から離れようとしたのに、その人は俺の腕を掴んだ。
「何、逃げないでよ。お友達も一緒にお姉さんたちと一緒に飲まない?」
一人じゃなかったのか。
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