第2章

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「俺?」 不思議そうな顔で、俺の顔を見る。 俺も、聞いた後で、何やってんだ?と思ったけれど、一度出てしまった言葉は、取り戻すことはできない。 「はい」 「瀬尾 奏多(セオ カナタ)。きみは冴さんの弟だったよね。」 『カナタ』さん、か。 クスっと笑いながら、須賀さんのいる部屋のドアを開けた。 「須賀さん、彼、あそこにいちゃダメですよ。"猛獣"に食われそうでしたよ。」 「え、マジか。」 慌てて振り向く須賀さん。 「も、"猛獣"って・・・」 唖然としながら二人を見比べてしまう。 「ああ、あの女性のお客さん、いつもそうなんだ。可愛い男の子みると、必ず声かけて、お持ち帰りするの。狙った獲物は逃がさない。だから"猛獣"。」 クスクスと笑っている奏多さんは、楽しそうだけれど、俺の方は、なんだか嫌な汗が出てきた。
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