204人が本棚に入れています
本棚に追加
フロアが俺たちの登場で期待に満ちてくる。
そのギリギリな瞬間にステージに上がるのは、ちょっとした快感を感じるのは仕方がない。その期待の中に、奏多さんも含まれていたらいいと、思わずにはいられない。
それは、瀬尾が現れたせいだろうか。
あの眼差しに、ちょっと羨ましいと思ってしまったことは否定しない。
それが俺に向くなんてことはありえないし。
それを考えている時点で、俺ってヤバくないか?と、冷静に思ってる自分もいる。
いつも通りに遅れ気味で登場した姉貴によって、フロアの熱気はMAX。姉貴はいつも、フロアを支配する女王様。
でも、今では、姉貴だけじゃない。
ヨージの歌声も、もう一つの支配力。
シノのギターと笑顔、それだって、フロアの女性たちは目が離せなくなってる。
俺は、そんな彼らを支えるだけだ。
それだって、悪くない。
いつも無表情と言われる俺でも、そんなことを考えながらだと、つい笑みがこぼれてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!