第3章

8/13
前へ
/74ページ
次へ
フロアが俺たちの登場で期待に満ちてくる。 そのギリギリな瞬間にステージに上がるのは、ちょっとした快感を感じるのは仕方がない。その期待の中に、奏多さんも含まれていたらいいと、思わずにはいられない。 それは、瀬尾が現れたせいだろうか。 あの眼差しに、ちょっと羨ましいと思ってしまったことは否定しない。 それが俺に向くなんてことはありえないし。 それを考えている時点で、俺ってヤバくないか?と、冷静に思ってる自分もいる。 いつも通りに遅れ気味で登場した姉貴によって、フロアの熱気はMAX。姉貴はいつも、フロアを支配する女王様。 でも、今では、姉貴だけじゃない。 ヨージの歌声も、もう一つの支配力。 シノのギターと笑顔、それだって、フロアの女性たちは目が離せなくなってる。 俺は、そんな彼らを支えるだけだ。 それだって、悪くない。 いつも無表情と言われる俺でも、そんなことを考えながらだと、つい笑みがこぼれてしまう。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

204人が本棚に入れています
本棚に追加