第3章

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フロアへの出入り口あたりに目をやる。 あの人が見ていてくれないか、そんな期待もしながら。 でも、現実には、そんなことはない。 裏に戻って、須賀さんからのアドバイスを素直に聞く。 ふと俺たち・・・というよりも、ヨージを必死に見つめている瀬尾が目に入る。 彼女ほどわかりやすい子も、そういないかもしれない。 まったく奏多さんとは正反対。 奏多さんは、穏やかな顔をしているけど、本当のところ何を考えているのかわからない。 ライブハウスで会っても、そんなに会話をすることもないから。 それでも、彼に惹かれている自分がいる。 「タカトシたち、時間、いいのか?」 奏多さんの、心地よい声が後ろから聞こえた。
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