第3章

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「あ、そろそろ帰ります。」 荷物を持ち上げながら、奏多さんを見つめてしまう。 そのせいで、まだ少し、この空間にいたいという気持ちを持て余している。 この人のいる空間に。 「あれ?瀬尾ちゃんは帰らないの?」 シノの声が聞こえてきた。 「一週間だけ、兄の部屋に、家出です。」 「えぇぇぇぇっ!いいなぁ!ねぇ、奏多さん、俺も泊めてよぉぉっ。」 「・・・邪魔者は、帰れ」 「・・・えぇぇぇぇっ!まさか、奏多さんって、そっち系!?」 「何考えてんだ!アホっ!」 奏多さんに叩かれてるシノが楽しそうでムカついた。 勢い、俺も頭をはたく。 俺には、そんなふうに絡んでくることはない。俺自身、そんなに簡単に絡めないから、仕方がないのかもしれないけど。 素直に絡めるシノが羨ましい。
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