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「あ、そろそろ帰ります。」
荷物を持ち上げながら、奏多さんを見つめてしまう。
そのせいで、まだ少し、この空間にいたいという気持ちを持て余している。
この人のいる空間に。
「あれ?瀬尾ちゃんは帰らないの?」
シノの声が聞こえてきた。
「一週間だけ、兄の部屋に、家出です。」
「えぇぇぇぇっ!いいなぁ!ねぇ、奏多さん、俺も泊めてよぉぉっ。」
「・・・邪魔者は、帰れ」
「・・・えぇぇぇぇっ!まさか、奏多さんって、そっち系!?」
「何考えてんだ!アホっ!」
奏多さんに叩かれてるシノが楽しそうでムカついた。
勢い、俺も頭をはたく。
俺には、そんなふうに絡んでくることはない。俺自身、そんなに簡単に絡めないから、仕方がないのかもしれないけど。
素直に絡めるシノが羨ましい。
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