第1章

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案の定、先輩たちからは、"あの兼田さんの弟"と、期待の眼差しで見られたけど、そもそもドラムじゃないし、独学でやってきたギター自体、それほど突出したものでもなかった。 むしろ、俺よりも、ボーカルのヨージの歌声と、なんでもそれなりにこなすシノのテクニックのおかげで、俺たち3人ひとくくりで、期待されるはめになる。 ・・・そうなれば、足をひっぱりたくなくて、必然と努力もするわけで。 1年の文化祭で、先輩たちと一緒にステージに立たせてもらえた。 「いやぁ、ヨージの歌声、ヤバイ。」 スポーツドリンクを飲みながら、ヨージを見つめる先輩は、違う意味でヤバそうなんですけど。 演奏を終えて戻る先は、軽音部の部室。 まだ、他の先輩たちは演奏していて、その音が流れてくる。 俺たちは前座的な感じだったけど、すでにイケメンで有名になってたシノのおかげで前評判だけはよかったからか、体育館は満員御礼のうえ、大盛り上がり。 初めてのステージで、ここまでいい感じでやれると思ってもいなかったせいもあって、興奮が冷めない。
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