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少し吊り上がった赤いフレームのせいか、メガネをかけたレナはキツい女に見える。
一部の隙もないキャリアウーマンといった感じ。
それがメガネを外した途端、クリッとした大きな瞳のあどけない顔が現れる。
それがたまらなく可愛い。
彼女はギャップだらけの女だ。
可愛い顔して、ハスキーボイス。
童顔のくせしてメリハリのあるボディー。
そのすべてが俺のツボで、レナのすべてが愛おしい。
「浮気されても、見て見ぬ振りして我慢しちゃうんだろうな、私」
レナの寂しそうな呟きに胸がざわめく。
つまり、それほど藤田課長に惚れてるってことか。
「じゃあ、結婚してついて来てくれって言われたら、何の問題もなくついて行くよな?」
「結婚かあ! いいよね、結婚。ああ、早く結婚したい。ビバ! 寿退職」
『ビバ!』って……谷沢。いいのか? 社食で大声で。
「え、藤堂くん、結婚を考えているの?」
レナの目がさらに大きくなった。
「いや、俺の話じゃなくて例えばだよ。結婚なんてまだ考えてないし」
結婚以前に恋人ですらない。
俺には紗綾がいて、レナには藤田課長がいる。
どうにかしたいのに、どうにもできない。
「男の二十六はまだまだって感じだろうけど、女の二十六はそろそろヤバいって感じだよね」
そうなのか?
だったら、尚更レナはプロポーズにOKしてしまうだろう。
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