スイートな君

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レナは仕事熱心だ。 他の受付嬢のように、ばっちりメイクで愛想を振りまいていればいいとは考えていない。 来客の顔と名前と飲み物の好みを完璧に覚えている。 接客する社員に関しても同じ。 それどころか、うちの商品についても日々勉強を怠らない。 顔が綺麗過ぎて受付に配属させられたが、元々は営業志望だったから、そういうことに興味があるのかもしれない。 だからといって不満を口にすることもなく、何事も経験だと前向きに仕事に打ち込んでいる。 そういう姿勢に俺は惚れたんだ。 レナは尊敬できる。 だから、俺もレナに尊敬してもらえる男になりたくて、仕事に励んでいる。 「もうすぐホワイトデーだね。私、今度はカニ料理の店がいいな。」 やっぱりそう来たかと紗綾の顔を見ながら、心の中でため息を吐いた。 今週末にでも店の予約を取って、プレゼントを買いに行かなくては。 「何か欲しいもの、ある?」 紗綾の好みなんて興味ないから、何を欲しがっているかなんて全然わからない。 「前に見たCOACHのバッグ。」 事も無げに言ってくれるけど、あれって103,000円だったよな? 10万超えのバッグと1人1万のカニ料理と。 この女にそんなに金をかける価値があるのか? こうやって金の事ばかり考えてしまうってことは、もうアウトだってことだ。 こいつにはもう金も時間も体力も費やしたくない。 「そうか。じゃあ、別れよう。」 ニッコリ笑った俺に紗綾が絶句した。 女との別れなんていつもこんなものだ。 結局は、お互い飾り物だってだけ。 紗綾にとっての俺は連れ歩くのに自慢できる見栄えのいい男。尚且つ、収入もそこそこあって、セックスも上手い。 俺にしてみたって、紗綾は隣にいて恥ずかしくない程度で、ヤりたい時にヤらせてくれる女ってだけ。 過剰の要求をされた時点で終了だ。
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