第1章

10/10
前へ
/10ページ
次へ
帰りのホームルーム。 私は教室、自分の席にいた。 迷いや不安はなかった… 私の中にあったのは、先生の最後の言葉を聞きたい。 ただ、それだけ… 誰かが不思議そうに、私を見ていたかもしれないけれど… 今の私はちっとも気にならなかった… ただ、まっすぐに、 先生の事だけを見つめていた。 『短い間だったけれど、感謝しています。本当にありがとう』 そう言って、二カッと笑った先生の顔を、私は絶対に忘れない。 『空(そら)先生~、いなくなるの寂しいよ~、』 『このまま、空先生、この学校の先生になってよ~』 女子たちのかけた言葉に、私は唖然としてしまった。 空先生? 岸上先生って、空って言う名前なの? …………知らなかった… そっか、紹介の時いなかったから、聞きそびれたんだ… 空、先生…か…… すごく似合ってるかも… 窓の外、 透き通るような晴天が広がっている。 大きく息を吸い込んで、 もう一度先生へと視線を向ける。 ねぇ、先生、 私は案外早く、この世界に散りばめられたとっておきのキラキラを 見つけられるかも、 う、ううん…違う… 私はもう…見つけたのかもしれない…… だって、こんなにもワクワクしている♪                             end
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加