第1章

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『春川さん、ここ、座っていい?』 ベッドに横になっている私の背後で、ギシリとパイプ椅子の軋む音。 『………』 いいって、言ってないのに… 心の中でなら文句も言える。 私は後ろは振り向かず、ギュッと目を閉じた。 『いい天気だね♪』 意味のない会話。 何しに先生はここに来るのだろうか… 私には理解できない… 先生の実習初日、私は教室にいなかった。 保健室に早々に避難していた私。 昼休み、 『春川さん、挨拶したいからカーテン開けるよ?』 と、聞いたことのない声。 挨拶と言われれば、無視するわけにもいかず… 『はい、』 と蚊の鳴くような声で返事を返し、上半身を起こした。 『初めまして、今日から教育実習で一週間お世話になる、岸上です。よろしくね♪』 そおっと視線をあげれば、目の前に若い男性がいた……、柔らかい笑顔を浮かべて…… 私によろしく、したって…意味ないのに… 『………』 無言でほんの少しだけ会釈を返す。 先生はすぐに保健室を出て行くと思ったのに…、何故か手を伸ばして近くにあったパイプ椅子を自分の方へと引き寄せた。 えっ? ギシッと音を鳴らして座りこんだ先生。 『教室来ないの?』 と、一番聞かれたくないような質問を口にする。 『………』 『学校は嫌い?』 『………』 『友達とうまくいってないの?』 『………』 友達なんていないし、 『担任が苦手?』 『………』 『俺も苦手、』 『えっ?』 思わず振り返ってしまった。 二カッと笑う先生は、とてもじゃないが、先生に見えなかった。 『俺の事もヤダ?』 『はっ?』 問われている意味がわからない… 唖然として先生を見つめていたら… 『それだけ、熱い視線で俺を見れるなら、嫌われてはないらしいね♪よかった♪』 『………』 到底、教師とは思えないセリフを吐いた。 あっ…実習生だから…教師ではないのか… 意味不明な岸上先生は、 『またね♪』と軽く手を振って、保健室を出て行った。 その次の日も、先生は昼休みにやってきた。 今日のお昼は何を食べたとか、これは美味しかったけど、あれはまずかったとか… 全く私とは無関係の話をベラベラと話し、またね♪と帰る。 本当、意味不明。 そして3日目。 またも先生はやってきた。
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