第1章

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ごめんな、と謝る先生の瞳は… どこか寂しげで、切ない色を宿している。 私は先生に、こんな顔をさせたかったわけではない… 私は先生に、謝って欲しかったわけではない… 私は…先生に… ただ… 『先生っ!』 膝の上でギュッと握りしめた拳。 『ん?』 その勢いに少し驚いたように瞬きをする。 『あのっ、最初はそうだったとしても…』 『えっ?』 『あのっ、ここに来た理由が、最初は軽い気持ちで、卒業のためだけだったとしても…』 『………』 『あのっ、今は…?』 『………』 『今はどう思ってるんですか?』 『えっ…』 『先生にとっては、教師は、やっぱりただの通過点にしか、過ぎないの?』 『………』 『教えて…下さい…』 『今は……違うよ……教師という仕事を、重く、受け止めている……今、ここで、こうして……、春川さんと向き合って、少しでも君の言葉を聞くことができて……本当に良かったと思ってる………』 『っっ……』 涙が溢れた。 『教師になれるかどうかはわからないけど……春川さんや、クラスのみんなに、出会うことができて……本当によかったと思っているよ、』 『ううっ……』 嗚咽を堪え、零れ落ちる涙を手の甲でグイッと乱暴に拭う。 『先生、』 『ん?』 『私はっ、私は先生に向いてると思うよ』 『えっ…?』 見開かれた先生の瞳。 真っ直ぐに見つめ返し、心こめて言った。 『先生に会えてよかった♪私…、また、いつか…先生に会いたい、』 『………』 『本当の先生になった先生に、会いたい…』 『それって……ある意味殺し文句だよね…?』 困ったように肩を竦めた先生。 『私…ずっと、待ってるから…』 何を… とは言わずに、そう告げた。 その言葉の意味を先生が、どう捉えたのかはわからない。 でもきっと……、 一年、いや、二年後には、また再会できるだろう。 そんな奇跡を願って、 私は心の中で呟いた… 先生、好き……
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