第4章

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晃が運ばれて1年が経った。 ずっと晃は目を覚まさないまま。 医者は本人の心理的なものが原因ではないかと言っていた。 俺はあれから女とは誰一人会っていない。 誰といても楽しくないんだ。 どこにも行く気になれなくて、毎日仕事が終われば晃の病室に来ている。 晃の寝顔を見つめながら、いつお前目を覚ますんだって思うんだ。 俺はやっと気づいた。 ずっと晃が好きだったんだ。 いつからなのかはわからない。 近すぎて、そこにいるのが当たり前すぎて、こうしていつ失うかわからなくなるまで気づかなかった。 晃、俺お前としたいこといっぱいあるんだよ。 俺まだお前とキスしかしてない。 頼むから、起きてくれ。 俺はもうお前がいてくれたらそれでいい。 「晃、俺はお前が好きだよ。だから戻ってこい。俺はずっとここにいるから。お前が起きるのを、ずっと待ってるから。」 そっと頭を撫でて、眠る晃の唇にキスをした。 晃が目を覚ましますようにと願いを込めて。
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