第2章

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悠介は酔って帰ってくるたびに俺を抱く。 そのたびに俺の心は痛みと嬉しさが混じりあう。 この腕は俺以外の人も抱きしめて、この体温は他の人も温める。 唇も身体もその全てが俺のものでもない。 この行為そのものさえ俺だけにすることじゃない。 何もかも終わって一人になって気づくんだ。 胸にぽっかり穴が開いてるようだって。 誰にも言えない思いは閉じ込めるしかなくて。 酔っている悠介に俺を抱いた記憶なんてないんだろう。 俺だけが記憶に残ってる。 俺はなんのためにここにいるの? なぜ悠介は俺を抱くの? 俺の行き場のない思いはどうしたらいい? それでも嫌いになれなくて、身体の繋がりさえ終わらせることも出来ない。 それでも次の日はやってきて、悠介は何もなかったかのように仕事に行く。 俺はまた何も言えずに気づかれないように大学に行くんだ。
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