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第一章 盗るものと盗られるもの
二人はなんとか兵達を撒くと、その日は森で見つけた小屋で朝になるのを待つことにした。
「たまたま小屋を見つけられたから良かったものの、無かったらその辺で寝るところだったな…。」
慎哉がそう呟くとラファエルも頷きその場に座り込む。
「流石に今日はいろいろありすぎて疲れたわ。」
慎哉は少し迷ってからこう切り出した。
「もしラファエルが良ければだけど…お互いのことについての情報交換をしないか?」
その提案にラファエルは少し考え込む。
「そうね…。まあ私はいいけど…それに何の意味があるのかしら?」
不思議そうに聞くラファエルに慎哉は苦笑して言う。
「実はな…」
そこで一息置いて、ラファエルに向かってニッと笑いかけ
「俺はこの世界の人間ではない。異世界から来た。」
小屋を沈黙が支配した。
沈黙が少し続いてから、ラファエルがその沈黙を破り問う。
「じゃあ、貴方はこの世界の名前すら知らず、どんな文明で、何があるのかも全く知らない…と?」
その問いに慎哉は頷く。
するとラファエルはなるほどね、と呟き話し出した。
「道理で情報が欲しい訳よね。じゃあ、まずはこの世界について話してあげる。」――――――――――――――――――――
「…何だよこの世界超面白ぇ…!!」
説明を聞き終わった慎哉は怪盗をしている時の様に目を輝かせていた。
彼はファンタジーものが大好きなのだが、この世界はまさに彼が思い描くようなファンタジー世界だったのだ。
概要を纏めるとこうだ。
今彼らがいるのは…
世界=ベルモンガルド
大陸=アルハトッテ
国=シルスーン共和国
首都=タリベット
そしてこの世界ベルモンガルドの文明は基本的に魔導と武器によって成り立っている。
日常で使う全てのものが空気中にある魔素から生成されたエネルギーによって動かされ、人々もその魔素を使い日々を快適に暮らせるように工夫しているのだ。
そしてもう1つの大切な要素、それが武器だ。
冒険者と呼ばれいくつかのクラス分けをされた人々が武器を持ち魔導を駆使し、時たま町に襲い来る魔物を退治したり、魔物を捕獲したりなど、それによって平和が保たれているのだ。
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