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「おい、お前!」
焼きそばパンを持って歩いていると、校内でも悪名高い不良の松来(マツキ)が目の前に立ちはだかった。
額には青筋を浮かばせている。今にもはち切れんばかりの血管が物語る怒りは、恐らく俺に向けられているのだろう。しかし、その理由には全く身に覚えがなかった。
「な、なんだよ」
声を裏返しながらも何とか振り絞って尋ねた。すると松来は、鼓膜が破れるかと思うほどの大声で怒鳴り散らした。
「その焼きそばパン、俺が先に目を付けていたんだ!よくも最後の一つを買ってくれたな!ボコボコにしてやる!!」
「そんな突拍子も無い理由でボコボコに!?」
「しかし、ここで騒ぎを起こすと後々面倒だ。今日の放課後、自らの足で体育館裏に来い!」
「いや、行かないよ!?なんでボコボコにされる事をわかっていて行くと思うの!?」
「大丈夫だ!お前は必ず来る!!」
「その謎の信頼感はなに!?」
「ずっと待ってるからな!!」
そう言い残し、松来は立ち去った。そして午後の授業が終わって放課後が訪れるも、約束を守る理由は皆無だ。
俺は体育館に近寄らないようにして帰路についた。
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