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隣の部屋から何かが崩れるような、争っているような音が聞こえた。 佐々木さんの部屋だ。 シンッーーー。 只事ではないような音がしたが、すぐに静まった。 嫌な予感がする。 考えるより先に俺は部屋を飛び出していた。 ガチャンッ! 鍵は開いていた。 「お邪魔します!佐々木さん、どうしたんですか!」 奥へ進むとそこには信じられない光景があった。 食器やタンスが倒れグチャグチャになった部屋の中心に佐々木さんと香織の姿。 香織の手には、包丁が握られている。 「おい!香織何してんだ!」 「来ないで!・・・この人なのよ」 佐々木さんは腰が抜け膝をついた。 「な、何がだよ?」 「この人が!お姉ちゃんを殺した犯人なの!」 なっ!! 佐々木さんが、殺人犯? それも香織のお姉ちゃん、詩織さんを殺しただって? 「何かの間違いじゃないのか?佐々木さんは本当に優しくていい人なんだよ」 「お姉ちゃんが教えてくれたの!全部、全部!」 さっき見た夢のことを思い出した。 香織の夢にもやっぱり出てきたんだ。 そして詩織さんは香織に犯人を告げた。 それが、佐々木さん・・・。
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