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目の前には詩織さん。 しかしさっきとは違って香織も同じ空間にいた。 その手に握る包丁には血はついていない。 どうやら殺めずに済んだようだ。 「う、うっ・・・。お姉ちゃん・・・」 「香織、敵討なんてしなくていいのよ」 「だって、お姉ちゃんが殺されちゃったんだよ?あんなくだらない理由で・・・!」 涙でグシャグシャになった顔には殺意が見えた。 「いいの。私は香織に見つけて欲しかった。全てを知って欲しかった。そしてあなたは涙を流してくれた、それで十分よ。いきなりいなくなっちゃってごめんね?」 香織は『お姉ちゃん』と何度も何度も叫びながら泣きじゃくっている。 「あの、詩織さん。香織を止めてくれてありがとうございます。それと、止められなくてすみませんでした」 佐々木さんの態度を見て思ってしまったのだ。 このまま殺されたほうがいいんじゃないかって。 香織の仇討ちにもなるからって。 でも本当の意味で香織を思ってやれてなかった。 もう少しで香織に殺人を犯させてしまうところだった。 「いいのよ。それよりありがとうね?香織を連れてきてくれて。また会わせてくれて」
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