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俺が通うのは都内の某私立大学。 特にやりたいことがあったわけでもない。 田舎育ちの俺は都会での一人暮らしに憧れて。 あと、このご時世大学くらい出てないとやっていけないと思って。 キャンパスに足を踏み入れると背の小さい女性が後ろから飛び込んできた。 「おはよっ!新居での暮らしは慣れた?」 「おうっ。まぁそれなりにな」 去年から付き合ってる香織だ。 俺に一目惚れした彼女からの猛烈アタックに負けた。 「ねぇ、今日泊まりに行っていい?」 「いいけど、夜暑すぎてやばいよ?」 「いいよ!どんなにボロいのかみてみたいし」 家賃2万円の新居。 ボロいと一言も言ってないのだが、この値段からボロいと連想されてしまう。 まあほんとにボロいから何も言い返せない。 学校終わり彼女と一緒に帰った。 すると『106』と書かれた部屋から佐々木さんが出てきた。 「あら圭佑くん、おかえりなさい。その子彼女?いいわね~」 香織を見ると佐々木さんは自分の若い頃を思い出すように頬を赤らめた。 「こんにちわ。香織って言います。佐々木さんにはいつも良くしてもらってるって、圭佑から聞いています!」
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