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水を飲みに台所へ向かおうとした時だ。
「...うっ...あっえーー」
・・・え?
この声は、夢で聞いた声。
どうして?
「...うっぉ、あっえぅ」
その声は香織の口から発されていた。
夢で聞いたあの、掠れたあの声そのものだ。
「か、香織。おい!香織!」
「うっ、うぅ...」
香織の肩を揺らすと彼女の目が突然カッと見開いた。
「ずっと、待ってるから。」
その目に白目は見当たらず、どこまでも闇深く引きずり込まれる感覚に襲われた。
「う、うわぁー!!」
ーー・・・あ、れ?
気がつくと朝になっていた。
昨日の夜、確か・・・。
いつも夢で聞こえる声が香織の口から聞こえた。
そして初めて、ハッキリした女性の声で『ずっと、待ってるから。』と。
ハッとした俺は隣を見た。
しかしそこで寝ていたはずの香織の姿は見当たらない。
そして香織の枕には、血の跡。
「香織!どこだ、香織!」
「キャアアーー!」
途端に洗面所のほうから悲鳴が聞こえた。
急いで駆けつけると鏡の前で顔を伏せうずくまる香織の姿があった。
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