赤と青のマフラー

3/3
前へ
/3ページ
次へ
後ろを振り向くと体を震わせながら工場に寄りかかる知佳が居た。 「知佳本当に待っていたのか!?」 「う、うん」 「遅くなるから帰ってって言ったのにどうして...」 「待ってるって言ったのでしょ。ずっと待ってるてそれに...」 知佳はそう言ってバッグから何かを取り出した。 「今日中に渡したい物もあったしね。はい誕生日プレゼント!」 知佳から渡された袋の中には青色のマフラーが入っていた。 「知佳これ...」 「今日に間に合わせる為に急いで編んだんだ。間に合って良かったよ」 手編みとは思えない完成度のマフラー、僕はとても嬉しかった。 「ありがとう知佳」 「どういたしまして...ハックシュ」 流石に2時間も外で待っていて体が冷えたんだろう。 僕はそっと自分のジャンバーを知佳に羽織らせる。 「え?啓一?」 「ほら、こんな寒い中で待ってたから。」 「でも、これじゃ啓一が...」 「僕は大丈夫だから」 僕はプレゼントにもらった青いマフラーを首に巻く。 「さあ行こうぜ、この時間でやってる店あるかな?」 「私のオススメの店はまだやってるからそこに行こうよ」 「あぁ」 首に巻いたマフラーはとても温かくこの寒い夜も気にならなくなった。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加