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後ろを振り向くと体を震わせながら工場に寄りかかる知佳が居た。
「知佳本当に待っていたのか!?」
「う、うん」
「遅くなるから帰ってって言ったのにどうして...」
「待ってるって言ったのでしょ。ずっと待ってるてそれに...」
知佳はそう言ってバッグから何かを取り出した。
「今日中に渡したい物もあったしね。はい誕生日プレゼント!」
知佳から渡された袋の中には青色のマフラーが入っていた。
「知佳これ...」
「今日に間に合わせる為に急いで編んだんだ。間に合って良かったよ」
手編みとは思えない完成度のマフラー、僕はとても嬉しかった。
「ありがとう知佳」
「どういたしまして...ハックシュ」
流石に2時間も外で待っていて体が冷えたんだろう。
僕はそっと自分のジャンバーを知佳に羽織らせる。
「え?啓一?」
「ほら、こんな寒い中で待ってたから。」
「でも、これじゃ啓一が...」
「僕は大丈夫だから」
僕はプレゼントにもらった青いマフラーを首に巻く。
「さあ行こうぜ、この時間でやってる店あるかな?」
「私のオススメの店はまだやってるからそこに行こうよ」
「あぁ」
首に巻いたマフラーはとても温かくこの寒い夜も気にならなくなった。
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