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何せ俺は今、透明人間になって、い……る……。
え。
鏡に、映ってる……?
さっき確認した時には、確かに……。
いや。
それよりも。
全身から、ブワッと冷や汗が吹き出す。
ゆっくりと、ゆっくりと鏡から視線を外し、個室から出てきたばかりの親子連れを見る。
子供を抱っこしたまま目を見開き、固まっている母親と目が合った。
「ママー、ちっちゃいゾウさんがいるよー!」
子供の無邪気な台詞の直後、女子トイレ内に絶叫が響き渡った。
その後の俺の事は、聞かないでほしい。
だが、一つだけ言っておきたい事がある。
俺のは、決してちっちゃいゾウさんではない。
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