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警部は、頭を振って答えた。
「いや」
すると、彼はほくそ笑んでから言った。
「秘書は、この部屋にいなかったのです」
その答えに、警部は、ポカンと口を開けた。なぜ、そんな答えが出て来たのかわからなかったからだった。彼は話を続けた。
「なぜ、そんな事を言うのかと言いたいんでしょう、警部。でも、これは明らかなんです。なぜなら、秘書さんは、この部屋にあるモノを隠すために、部屋を取ったのですから」
「あるモノ?」
警部はぽつりと一言話した。あるモノとは何なのか、疑問に思ったからだ。彼は、その事にまんざらでもないというような顔をしているけど。
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