第1章

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僕の名前はaqua。 ネザーランドドワーフっていう種類で、淡い茶色の体をした小さなうさぎの男の子。 生まれた時から少し体が悪くて、ご飯も少ししか食べられなかった。 うさぎが大好きなお店のお姉さんに可愛がられていたんだけど… ある日、僕を家族として迎えたいっていうおじさんとおばさんのお家で飼われることになったんだ。 おじさんとおばさんのお家には、他にお姉ちゃんとお兄ちゃんもいた。 僕が体が弱かったから、ご飯も柔らかい葉っぱにしてもらったり、ペレットっていう固いご飯は葉っぱの粉と混ぜ合わせてクッキーを作ってくれたりして食べさせてくれた。 お腹が痛くなれば、病院っていうちょっと怖い所に連れて行かれて注射をしてもらった。注射さえ我慢すれば、またご飯が食べられるようになった。 僕は、3歳になる前の冬に、いつもみたいにお腹が痛くなったんだ。 病院にも連れて行ってもらったんだけど、いつもみたいにはご飯が食べられなくなった。 僕がずっと寝ていると、家族のみんなが僕の前に集まって悲しそうな顔をするんだ。 だから僕は体を起こして頭を撫でてもらいに行った。 少しでも、みんなを笑顔にしたかったから。 寒い日の朝、まだ日が昇る前だった。 僕は一緒の部屋で寝ていたおばさんに最期のメッセージを送りたくて、ゲージの中で暴れたんだ。 すぐに気がついたおばさんは、おじさんを連れてきた。 僕は「キュー キューキュー…」って鳴いたんだけど、僕のメッセージにおばさんは「痛いの?苦しいの?」って泣いてた。 僕は、おじさんやおばさんやお姉ちゃん、お兄ちゃんと別れてから、暖かくてとても過ごしやすい、美味しい葉っぱもたくさん食べられる『虹の橋』のたもとで暮らしている。 あんなにお腹が痛かったのに、今では注射をしなくても痛くない。 僕と同じ仲間もたくさんいて、毎日走り回って楽しく過ごしている。 でも、フッと考えるんだ。 僕の最期のメッセージは… 僕はずっとずっと待ってるよ。 おじさんやおばさんが僕を迎えに来てくれる時を。 その時に頭を撫でてもらって、僕はまた最後に言いたかったことを伝えるんだ。
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