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「俺達は置き去りにされたんだ」
「馬鹿な事を言うな! 」
俺達は極寒の地南極から救出される事を待っていた。
「俺は信じています、救出される事を。
ずっと待ってるから、期待を裏切らないで下さい」
俺達はプレハブ小屋に入り、身を寄せ合って暖を取る。
「腹減ったな」
「取り敢えず救助が来るまでの間、生活物資を集めよう」
俺達は、残された物資の中から食料などを探す。
残されていた食料は僅かであった。
「こんな量では、すぐ無くなるぞ」
「ペンギンを狩ろう」
極寒の地で天敵のいないペンギンは、狩りやすい獲物だったが、子育てが終わると海に向けて移動してしまった。
「寒い、寒い、もう駄目だ」
「腹減ったな――。
どうせ死ぬのなら腹一杯食って死にたいな――」
「おい! 目を覚ませ! 頑張れ! 」
仲間が次々と倒れて行く。
倒れた仲間達を埋葬したくても、極寒の地、野晒しにするしか手が無い。
救助隊はまだ来ないのか?
ここに取り残されたとき多数いた仲間達は、今、俺と、俺と身を寄せ合って暖を取っているこいつだけだ。
「寒い、腹減った。
もう救助隊なんて来ないんだ。
俺達は見捨てられたんだよ」
「馬鹿を言うな! 頑張れもう少しの辛抱だ。
おい!
何か聞こえないか?」
俺達は助けあってプレハブ小屋から外に出る。
そして海の方向を見た。
音の正体は最初小さな点であったが、だんだんと大きな点になって行く。
その正体はこちらを目指して飛行している、ヘリコプターだった。
救助隊だ!
俺と相棒は大声で叫びながら、ヘリコプターの方へ走り出す。
「信じていました、助けに来てくれる事を」
こうして極寒の地南極に置き去りにされた、タロウとジロウは救助された。
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