第1章

2/2
前へ
/2ページ
次へ
彼女―――白石さくらを好きになった。 同じクラスで、図書委員。 席は左斜め後ろ。 艶やかな黒髪が印象的。 いつの間にか目で追うようになって、 ああ、好きなんだなって思った。 彼女に好きな人がいるって話が耳に入った時は、終わったと思ったが……、 これはひどくないか? 日課のランニング中、あとこの階段を下れば家に到着ってところに彼女が座っていた。 ああ、そうだよな、聖バレンタインだもんな、好きなやついたら告るよな、女子としては。 でも、この階段を下りる他に家にたどり着く方法がない。 告白現場に居合わせるのは正直辛い。 うん、ささっと通り過ぎよう。 と、走り出したとたん、彼女が振り向いた。 やべ、万事休す。 と、思ったら。 「良かった。今日はもう来ないかと思った。」 ……、え? 「あの、ずっと前から好きでした。受け取ってください。」
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加