第1章

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授業が終わって一度家に帰ってから出かけた。 紺野くんの日課であるといるランニングから帰ってくるのを階段に座って待つ。 結局、梨沙ちゃんが探りをいれてくれたお陰で紺野くんの日課を知った。 早く来ないかな、いやいや、来ないで。 いろんな感情が入り交じる。 不安と緊張でぐちゃぐちゃで。 でも、待つ時間が長くなるほどに、不安が膨らんで、今日は来ないんじゃないかって心配になった。 無駄にキョロキョロしたりしたけど、やっぱりいない。 少しほっとしてしまった。 どうしよう。来なかったからって言い訳して告白しないままでいいのかな。 いや、良くはないんだけども。ちょっと逃げたい。 どうしよう、どうしよう。 逃げ癖がついちゃったかな。 チョコレートケーキが私の手の中で悲しげにしぼんでいくような気がした。 せっかくうまく焼けたのにな。 泣きたくなった。 どうして今まで何もしてこなかったんだろう。 こんなに好きなのに。 なんで眺めているだけでいいと思ってしまったんだろう。 こんなにも好きなのに。 来ないなら、私が行くしかない! 妙に強気になって立ち上がって、鞄を持つために振り返ると、 いた。 「良かった。今日はもう来ないかと思った。」 強気の気持ちのまま、伝えてしまおう。 精一杯の気持ちを込めて、大きく息を吸った。
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