2:学園祭

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「で、でも…いきなりそんなこと言われても…身に覚えがないというか…。 一体、私が誰に狙われていると言うんですか」 「魔術部の南雲雨(なぐも あめ)だ」 先輩は少し苦い顔をしながら答えた。 「……あの変態魔術師として有名な南雲君?」 彼の変わりっぷりは、この蒼野先輩をも上回る勢いで、グラウンドいっぱいにミステリーサークルを描いたとか、魔術で風を巻き起こしてスカートめくりをしたとか、プールに沈んで女子の泳ぐ姿を眺めていたとか…。 主に学園一のド変態として有名だった。 「奴が君を狙っている。これはとても危険なことだ」 「確かにとても危険な感じがしますけど…。なんで私を…」 「多分、それは俺のせいだ。 詳しくは言えなくて悪いが、俺の言うことを信じてくれないか?」 「…え。…えーっと…」 先輩にそんな真剣な目で見つめられると、困ると言うか…ドキドキしてしまうと言うか…。 「…先輩の言うことが本当だとして…その…先輩は…私のことを守ってくれますか?」 「ああ。全力で守るとも」 先輩は力強く頷いた。 「じゃあ……私は先輩のこと、信じます」 そう頷いたのは正しかったのか、間違っていたのか…。 今となっては分からないが、その時の私は、先輩からその泥のような液体の入ったコップを受けとり、中身を全て飲み干したのだった。
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