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『――穴があったら入りたい』
たとえば公衆の面前で派手に転けてしまった時。
人に言えないような趣味が周りにバレてしまった時。
人は誰しもそんなことを思う――。
そして、今の私も。
まさしくそんな状況に直面していた。
全校集会のあるホールに向かう途中の廊下で、
ずるびったーん、と派手な音を立てて床にスライディング…そのうえ…。
「だ、大丈夫?真夏…ってきゃ!!」
今の私は穴に入る必要はなかった。
なぜならば――。
恥ずかしくなると、不思議とこの体は透明になってしまうから。
…しかし。
「…制服だけが浮いてる!!」
透明な私はすぐさま起き上がり、その場から疾風のごとく走り去った。
「……せせせ制服が高速移動してる!!」
現場は騒然となる。
「…っていうか、今、捲り上がったスカートの向こうに赤パンが見えなかった…?」
そんな声も聞こえた気がするが、敢えて聞こえなかったことにしておこう。
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