1:奇人なる先輩

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いきり立つ私に「どうどう」と両手を広げる先輩。 「そうだな。 もしかして化学からではなく、違う分野からのアプローチが必要なのかもしれん…」 「暢気に言ってる場合ではないですよ。 こちとら毎日ピンチの連続で、さっきも…」 「ああ。 捲れたスカートの下から赤パンが見えたってやつ?」 「…な、なんで、もう知ってるんですか?」 「風の噂で聞いたよ。良い趣味してるね」 「う、うるさいっ! 履いてたら、何か調子がいいんです!」 「…あ。体が透けかけてるぞ」 「もう!先輩のせいです!」 「大丈夫だ。そういう恥ずかしいピンチを乗り切る方法が一つだけある」 「…何ですか?」 期待はしていないが、一応聞いておこう。 「全裸になれ。 そうすれば裸になったという羞恥で体が透明化し、服だけが浮くということも無くな…ぶべら!!」 私は咄嗟に隣にあった骨格標本を奴に向かって投げつけた。 「サイッテー!!」 揉んどりうって倒れた先輩は、なかなか起き上がってこない。 「…ちょ……あれ……なんか骨の関節が絡まって抜け出せないんだけど…」 「良い格好ですね。骨相手にサンボの技でも磨いてれば?」 私は扉を荒々しく閉め、部屋を出ていった。
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