2:学園祭

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* それは一週間前のできごと。 今思えば、あの日の何かがきっかけだったのかもしれない。 私の体が透明化するようになったのは…。 「いきなりで悪いが、これを飲んでくれないか?」 先輩に呼び出された化学準備室に行くと、いきなり正体不明の液体の入ったコップを渡された。 「……何ですか、これ」 「君は狙われている。 これはどんな毒物も無効化する薬だ。急ぎで作ったから効果までは確認できていないが…」 私はムツゴロウの棲む泥沼のような色をしたその液体を見つめる。 …怪しい。いかにも怪しい。 「私の体で人体実験でもするつもりですか? …あ、わかった。あれでしょ。 今日は学園祭だから、その展示物にするつもりですか」 「俺は学園祭で展示も発表もするつもりはない。面倒だからな」 にべもなくそんなことを言う。 「じゃあ…なんで…?」 「言っただろう。 君は狙われている。これは君を守るために作ったんだ」 「……え?」 先輩のその言葉に思わずドキリとしてしまった。
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