エピローグ

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久しぶりに帰って来た実家は、なんだか懐かしさを感じる。 『藤代』の跡継ぎに決まってからは、実家にはあまり帰って来なかったからかもしれない。 「ただいま」と玄関で声をかけると、「おかえり」と母さんが迎えてくれた。 大学4年の息子がいるって思わないほど若く見える母さんは、密かに俺の自慢だ。 恥ずかしくて言ったことはないけど。 「もうすぐご飯だから、手を洗ってね」 「うん」 子供の頃と同じ事を言われて素直に返事をする。 あー、やっぱりこの家は変わらないな。 部屋に入るとテーブルには乗り切らないほど俺の好物が並んでいて、弟の総が「愛されてるね」と嬉しそうにクスクス笑っていた。 夕食は父さんも帰って来て、久々に家族四人で食べた。 楽しそうな両親を見ていると、もっと頻繁に帰って来れば良かったって思った。
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