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「徐州へ、出陣する」
曹操はいつも通り物静かに一言だけ命令を伝えた。
「お待ちくだされっ!」
前へ出できたのは軍師の一人、陳宮。
「心中お察し申しますが、お止まり下され。
今兵を動かせば、それは私怨。
私怨で兵を動かせば、天下の人心も殿から離れていってしまい、後世に拭いきれない汚名を残す事になりましょうぞ!」
「黙れっ!」
曹操は陳宮を一喝。
あまりに大きく激しい声色だった。
「出陣と言ったら出陣だ!」
曹操の両眼から赤みがかった涙が溢れ、
あまりに強く噛締めた唇は破れて血を流していた…
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