1・ キライ

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うだうだと悩んでいると、着信音が部屋に響き始めた。 先輩は時間通りにかけてくる。 「すみません、時間、大丈夫なんですか?」 『うちの奥さん、今、ドラマ観てるから。録画してたやつをね。何かあったんです?』 丁寧な口調は、昔から。 低すぎないけど少し掠れた声が、くすぐったい。 『ああ、特に何かなくても、悠子さんと話す時間は作りますから、気にしなくていいんです』 先手を打たれる。 『とは言え、些細な事でも、答えが出ない時はありますから。気の済むまで話しましょう』 「ありがとうございます。えっと、ネットの人間関係なんですけど……」 あたしは話の流れを説明する。浅葱の話は何度かした事があるから、先輩は浅葱の性格をなんとなく把握している。
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