1・ キライ

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『あの時、私が車で来ていなかったら、路上で寝てましたね。忙しい時期で、悠子さんが疲れている気がしたから、飲まずにいようと思ってたから。予想通りで』 「あの時は、ほんとにすみませんッ。途中からあまり覚えてなくて。送っていただいて助かりました」 『寝言、楽しかったからいいんですけどね』 「それ、初耳ですよ。あたし、何をッ」 『仕事の愚痴、ですよ。会社の上司の面白い話で』 くくくっと、思い出し笑いをする先輩は、少しだけ意地悪な雰囲気を醸し出す。 言わなくてもいい事を口走ってるかもしれない。でも先輩は、そこには絶対触れないんだろう。 『スマホ見つめて慌てている様子が目に浮かびますね』 からかわれてる、気がする。 でも、嫌じゃない。
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