1・ キライ

20/21
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
仕方なくこの界隈のビジネスホテルの空きを調べる。 「ねえ、ちょっと」 「なんすか」 「あんた、酔いすぎ。あたしが予約してるホテルに空きがあるみたいなんだけど、そこでいい? それならタクシーで移動できるし泥酔した馬鹿を部屋まで連れてけるし」 「サハラ、飲み直すぞー。俺はつまらん!」 ただの酔っ払いのようだ。 「二軒目! 移動しよー。俺は大丈夫」 「大丈夫なわけないよ」 そう言ってると、入江は会計を済ませてさっさと店を出た。 二軒目までは千鳥足だけど、なんとか無事に着いて、入江はひとまず水を飲み始める。 「浅葱ちゃんがだめなことくらい。わかってたし」 入江は、とろんとした目つきであたしを見ている、 「じゃあなんで」 「サハラのバーカ」 「何が馬鹿よ」
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!