2・ズルい

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「イヤ」 「好きな人の話、聞かせてよ」 「イヤだ」 「サハラじゃなくて、普段のあなたの話をきかせてよ」 「イヤ」 「どうして俺がキライ?」 「図々しい」 「どうして俺をみない?」 「イヤだから」 「どうしてそんなに泣きそうな顔を」 入江が起き上がり、あたしに近付いた。 この部屋から出ないと。 あたしは、入江のペースに巻き込まれてる、イヤだ。どうしてすぐに部屋を出なかったの。 「避けるなよ」 「避けてない。キライなの」 「ひどいな」 「そうよ。ひどいのよ」 「抱きしめていい?」 「なんでそうなるの」 「かわいいから」 「馬鹿じゃないの?」 「いいからこっち。来ないならこっちがいく」 入江があたしの手を取った。
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