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「ねえ、明慶くんは何の為にこの薬を作ったの?」
「ある日透明人間ってなれるものなのかな?って思い立ってね。……科学的興味かなあ」
「スプレーは? 薬を飲まずに全身にスプレーすればすぐに透明人間になれるんじゃない?」
「スプレーの中身は肌に付けると皮膚に悪いからね。いろいろ実験した結果、薬を飲んで、洋服にスプレーをする。これが今一番いいみたいなんだ」
「それでそのあとどうするの?」
「そのあとって?」
「透明人間になってやりたいことないの?」
うーん、と少し考えるそぶりをしたあと口を開いた。
「薬を作ってみたかっただけだからね。特に利用する気はないよ」
「そうなの? 何かに使わないともったいないよ。せっかくの発明品なのに」
「何かって、透明人間になってどうするの?」
逆に質問されてしまった。
「……人助けとか?」
「透明人間が人助けって可能なのかな……」
ぶつぶつと呟き始める明慶くん。
「じゃあ、試してみようよ」
「試す?」
「うん。実験だよ、実験」
私は明慶くんの心くすぐるワードを言う。
「透明人間がいかにして人を助ける実験かあ」
ちょっと乗り気になってきたようだ。
「だから、私を完全に透明にして? 制服とか」
「……分かった。あくまでも実験だからね?」
そう言って私の洋服にスプレーをし始めた。
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