第一章

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「ねえ、明慶くんは何の為にこの薬を作ったの?」 「ある日透明人間ってなれるものなのかな?って思い立ってね。……科学的興味かなあ」 「スプレーは? 薬を飲まずに全身にスプレーすればすぐに透明人間になれるんじゃない?」 「スプレーの中身は肌に付けると皮膚に悪いからね。いろいろ実験した結果、薬を飲んで、洋服にスプレーをする。これが今一番いいみたいなんだ」 「それでそのあとどうするの?」 「そのあとって?」 「透明人間になってやりたいことないの?」 うーん、と少し考えるそぶりをしたあと口を開いた。 「薬を作ってみたかっただけだからね。特に利用する気はないよ」 「そうなの? 何かに使わないともったいないよ。せっかくの発明品なのに」 「何かって、透明人間になってどうするの?」 逆に質問されてしまった。 「……人助けとか?」 「透明人間が人助けって可能なのかな……」 ぶつぶつと呟き始める明慶くん。 「じゃあ、試してみようよ」 「試す?」 「うん。実験だよ、実験」 私は明慶くんの心くすぐるワードを言う。 「透明人間がいかにして人を助ける実験かあ」 ちょっと乗り気になってきたようだ。 「だから、私を完全に透明にして? 制服とか」 「……分かった。あくまでも実験だからね?」 そう言って私の洋服にスプレーをし始めた。
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