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「…で、君達はなんなのですか一体?アレデスカ、最近流行りの露出狂って奴ですか」
「違います!本当失礼な子ですね!」
「いや、こんな森の中で男女が川に流れた服を追いかけながら下着姿で走ってきたら誰だってそう思うぞ」
無事に服を取り戻した俺達は、川のほとりで偶然出会った謎の少女と会話していた。この世界の住人に出会ったのは初めてなのでとても心強い
「まずさ、何で服追いかけてたんですか?」
「あぁ…それはですね。私が怪我して治療のために回復魔法使ってまして、その間に二人分の服を洗っていたこの人が足を滑らして…」
「あ、もういいです。大方わかりましたので」
なんかやたらと冷たい目で見られているのだが気のせいだろうか。いや気のせいであってほしいもんだ
それよりもこの少女、背丈を遥かに越える大きさの弓を担いでいるが、猟師か何かなのか?だが仮にそうだとしても矢筒を持っていないのが引っ掛かる。あれか?これも魔法で出すってのか?魔法って便利だなおい
「で、見たところあんたはこの土地の人間なんだろ?丁度良かった、近くの街まで連れてってくれないか?」
「いや、それは出来ないんですよ」
「何で?」
少女は真剣な顔付きになると空を見上げながら呟き始めた。この森には俺達の知らないとんでもない秘密があるのかもしれない
「この森はね、一度入ると出られない魔性の森。もう私たちはその永遠の迷路に閉じ込められたんですよ…」
暫しの静寂、そしてそれを掻き消す鳥たちが羽ばたく音。それらはこの不気味が森は俺達を逃がすまいと嘲笑うようにも聞こえた
「あれ?地図持ってるじゃん。どれどれ…おぉ、あっちの方角だね!」
「ちょっと!人の私物漁らないでくださいよ!」
前言撤回。多分さっきの鳴き声は簡単に騙された俺に対するものだったんだろう。つーか地図もってんのかよ、てことは迷子かよ…くそったれ…
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