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それから俺達は荷物をまとめ、森を抜け出すべく東へと歩き始めた。憐に話を聞いてみると、どうやら気付いたらこの世界にいて帰れなくなってしまったらしい。しかも使える力にもかなり制限がかかったらしく、本人曰く補助的な役割しか持てないだそうだ。まぁそれだけでも充分だろう
そうして丸一日歩き続けた結果、ついに森を抜けることに成功した。視界に広がっていたのは聳え立つ山々と、その麓に存在する小さな町だ。ここがエーテルという町なのだろう
「さて、問題は寝床だな。リーシャ、お金持ってる?」
「えーと…それが私もこの身一つでして…一文無しです!」
すっごいドヤ顔で言ってくるのだが用は何も持ってないってことだよね?ドヤ顔意味ないよね?
「はぁ…憐お金持ってる?」
「あるよー?」
「だよなー…うぇ!?」
「念のため持ってきておいたんだぁ、はいこれ」
憐は背負ってた袋から大量の金貨を取り出した。これだけあれば今後の生活に困らないだろう。よし、憐は使えないポンコツから使えるポンコツに進化させてやろう
「さーてと、じゃあここを拠点にするからまずは町長に挨拶を…っと!?」
突然銃弾が飛んできたので持っていたハンドガンの弾で銃弾を弾き返した。並の人間なら出来ないだろうが、俺はこの世界に来る前に憐によってある程度身体を強化させてもらっている。それが早速役に立ったようだ
「…」
「っち…逃げたか」
「何々敵襲?私が成敗してくれるわ!」
「お前自分でサポートに徹するって言ってたよな」
(まさか、私も探知をかけていたから敵が来たらすぐにわかるはず。まさか探知範囲外から?それよりも…)
リーシャは身震いした。この世界にはまだまだ危険な人間が沢山いること、そしてまるで獣のようにそれらを撃退する男が目の前にいることに対してだ
(この二人が仲間でよかった…)
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