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「それにしても気になりますね」
「何がだ?」
「この町は元々お祭りなどが盛んに行われててとても賑やかなんですよ。けどとても静かじゃないですか?まだ日も落ちてないのに可笑しいですよね」
リーシャの言う通り、町の方からは声一つ聞こえてこない。それどころか町自体が薄暗い空気に満ちてる気がする
「兎に角ここの町長さんに話聞こうよ!それからだよ!」
「あぁ、そうだな」
町全体に漂う薄暗い空気に違和感を感じながら、俺達は町長の居るであろう町役場を目指した。大通りを歩いていても風一つ吹かない。まるでこの町だけ別次元に切り離されてるみたいだ
「ここだな…よし、入ろう」
町役場のドアを開けると、そこには数人の女性と筋骨隆々のおっさんが座っていた。男のロマンが沢山あるな
「龍夜君サイテー」
「はぁ?俺は男のロマンを感じていただけだろう」
「それがサイテーなんだよ。空気読もうよ」
「じゃあお前は俺の心を読むなよ」
憐と軽口を叩きあってると、座っていたおっさんが立ち上がって此方へ近寄ってきた。立派な髭を蓄えたいいおっさんじゃねぇか
「君達は旅人か?」
「え?あぁそうだけど…」
「どうやってこの町へ入ってきた!?」
「うぇ!?ちょっと落ち着けおっさん!」
突然俺の肩を掴み、血走った目で問い詰めてくるおっさん。唾かかってるから汚いから。後さ、力強すぎ。肩千切れるから
「御父さん落ち着いて!」
「む…すまない、久しぶりに人と会えたので取り乱してしまったようだ」
「いや、それは構わないんだけどさ…この町は一体…」
「む?助けに来たギルドの人間じゃないのか?」
「え?どっちかというと迷子で助けてほしい側なんだけど」
あれ?もしかして盛大なすれ違いが起きてしまってるのか?俺も頭が混乱してきたぞ
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