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「えっと…とりあえず何があったか説明してくれませんか?話はそこからです」
「そうじゃな…まずこの町についてだが、この町は隔離されておるんじゃ。あれは半年前のこと、突如現れた黒霧によってワシたちはこの町に閉じ込められた。だがそれだけじゃない、この町を護ってくれていた姉弟が奴等の拠点に幽閉されてしまったのじゃ」
おっさんはそう言いながら拳を握りしめた。服の隙間から見える包帯から察するに、おっさんもこの町を襲った敵と戦ったんだろう。そしてその結果は…
「助けは呼ばなかったの?」
「呼んださ、だがここに来る途中に皆殺されてしもうた。勿論、この町から出ようとした者も同様に…な」
どうやら何者かが、この町に来る援軍を排除しているらしい。きっとそのせいで外部との連絡もとれずにここに閉じ込められてるのだろう。それにしても何か引っ掛かる…一体何が引っ掛かってるんだ?
「あれ?でもその敵ってさ、さっき会ったよね?」
「あぁ、龍夜君が攻撃を弾いたら簡単に帰っていきましたね」
「おかしいな…ここに来る途中に殺られた者達は、必ず交戦状態に入ると聞いたのじゃが…」
「恐らく、奴等は援軍が来るのを事前に察知していたのだろう。だから複数で待ち構えて袋叩きにしていた。だけど俺達は森の方から来たし、ここに来る予定も無かった。よって奴等も俺達が来たのは想定外だったんだろう。その為に一度引いて態勢を整えた。そのうち潰しに来るだろう」
あくまでも推測にすぎないが、それでもこの状況を説明するには充分だったろう。今必要なのは、俺達が敵ではない証拠、それといつ攻めこんでくるかわからない敵と交戦するための準備だからな
「さてと、おっさんに一つ聞きたい。敵は何なんだ?」
「敵はな…我々より遥かに高い魔法文明を持ち、人間とは比較的友好的な方の種族とも言われていた…彼等は…」
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