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俺はおっさんの方に振り向き、そして拳を前につきだした。かつて俺と尊敬する師匠が初めて会った時と同じように
「この地は中々に住みやすそうなもんでな。人助けの片手間に農業をやってみるのも悪くねぇ。祭り事なんざ大歓迎だ」
「こう見えて儂も最近農業でも始めてみようかと思ってたところじゃ。だがその為にはこの閉鎖された土地をどうにかせねばならん」
「うちの国では、戦争でどれだけ壊滅的に攻撃されてもそこから立ち上がる不屈の精神があった。おっさん、あんたもそれと同じ精神を持ってるだろう?」
「あぁ、一時は諦めかけていたが、お前さんのおかげで目が覚めた。このギルバード=ストロングの命、お前さんに預けようぞ」
おっさんはそう言うと拳を出し、二人の拳が宙でかちあった。成り行きでっていうのもあるが、それ以上にこのおっさんからは男気を感じる。この常識はずれの世界では、つまらん理屈よりもそういった気合いの方が断然信用できる
と、男二人が熱い友情を交わしているときに放置していた二人がやって来た。その様子だと俺の話を聞いていたみたいだ。憐なんか目に涙が溜まっている。こいつ涙もろすぎるだろ…てか泣く要素あったか今の
「龍夜君私も頑張るからねぇ!!ズビッ」
「私も精一杯御供します!この町の平和を取り戻しましょう!」
「あぁ…よし!じゃあ行くか!」
「ぬ、ちょっと待ってくれ!」
気合いも入れていざ出陣と言うときにおっさんが制止した。おっさん筋肉のわりに意外と用心深いタイプか?繊細な筋肉だな
「むむ…すまんすまん。だが龍夜よ、お前さんを連れていきたい場所があるんじゃ」
「連れていきたい場所?」
「あぁ、来てくれ」
おっさんに連れられ俺達は町役場の奥の部屋へと連れていかれた。そこには地下に通じる階段が一つ、そこから淡い光が立ち込めていた
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