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俺は人を侮辱する失礼な声の主の方へと歩いていく。見つけ次第一発ぶん殴ってやる
だが途中で異変に気づいた。何故なら一定の距離を近づいてからどれ程歩いてもそれ以上縮まらないのだ。少し後ろに下がれば遠ざかるが、やはり近付こうとすれば失敗に終わる。無限ループってやつか
「おい、なんか近づけないからこっちに来い」
『殴られるとわかっていて何故近づく必要がある?馬鹿なのかお主』
「お前俺が近づけないからって煽ってんじゃねぇぞゴラァ!!」
畜生、こんな見えない壁がなければ今すぐに顔面おはじきにしてやるのに
『それに、真剣な話を言えば私はお主に近付けないのだ。というかこの場から動けん』
「はぁ?」
『実は私はこの場所に封印されておってな、この場所から動くことが出来ないのだ』
「それじゃあその封印した奴ってのを仕留めればいいんじゃないのか?」
『それは出来ぬ』
龍長を名乗る影はあっさりと否定した。恐らく彼が封印されてから何百年も経ったので、封印をかけた奴はもういないんだろう。さっき一族は昔栄えて滅びたって言ってたしな
「まぁでももしかしたら生きてるかもしれないじゃん?仮に会ったらついでに仕留めてやるから一応教えてくれ」
『そうか…じゃあ言おう。封印をかけたのは…』
「かけたのは?」
『…私だ』
薄暗い空間にどこか虚しく、そしてやるせない空気が流れていく
「なーんだお前か、そっかそっか…
あ?」
『いやぁ、誰か来るまで休んどこうと思ってたら動けなくなっちゃったみたいな?』
「みたいなじゃねぇよ!何で自分で封印かけて動けなくなってんの!?何となくそんな予感はしてたけどさ!バカかお前!」
もういや疲れたよ…
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