第三話 任務No.1【エーテルに光を】

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エーテルの町を囲うように聳え立つウルド山脈、その中でも特に小さい山の内部にその施設はあった 今回のエーテル襲撃の犯人でもある魔族中心の闇ギルド『テンペスト』の活動拠点だ。彼らはエーテルを支配し、その勢力を伸ばそうと密かに力を蓄えていた そしてその施設の唯一の出入口を見張る二人の男が、いつも通り町を見下ろしながら雑談をしていた 「ったくこの間の暗殺しくじったせいで今月報酬下がったんだよなぁ」 「あぁ、例の旅人っぽいやつか。ま、それくらいなら問題なかっただろうから報告しなきゃ良かっただろう」 「そういうわけにもいかねぇよ…お頭なら視てそうだし、黙っててバレたら命まで持ってかれるからな」 「ハハ、そりゃ大変だな!」 「つーか、このお頭が創った結界すげぇな。マジで外から見えねぇし中からは見放題だもんな。しかも外部の干渉も固定の魔力しか受け付けない、完璧だろ」 「あの人は色んな術式に首突っ込んでるからな。この黒霧だって造作もなく出したしな。絶対に敵にはしたくねぇぜ…」 「そうだな…ん?」 小さな、だが確かに何かがひび割れる音が聞こえた男は咄嗟に警戒体制に入った。だが周囲を見渡すが、蟻一匹見つからない 「なんだ?もしかして地震か?」 「それはないだろ。この地域は地震が全く起きないからこそ選んだんだし、熊が寝返りでもうったんじゃないのか?」 「それもそうだな!はは…は?」 「おいおいどうしたんだよ…えぇ…」 二人の視線の先には、結界の外側から確かにこっちを見る女の姿があった。彼女は辺りを見渡した後、身の丈よりも長い弓をそっと構える 「何だ何だハンターか?こっちを見てるってことは猪でも上にいるのか?」 「いや、それにしては角度が可笑しくないか?確実にこっちを狙ってるぞ…」 怪しく思い仕留めに行こうと立ち上がったその瞬間、弓矢は放たれ二人は激しい爆発に飲み込まれた
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