第1章

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わたし、ずっと待ってるから! 俺が、頭を押さえつけられてパトカーの後部座席に押し込められた時、あいつの涙声が追いかけてきた。 バカを言うなよ。 俺は彼女のいる側を振り向かないまま、突き放す様に呟くと、結局そのまま拘置所へと収監された。 彼女の両親が言い留めてくれたのだろう。 その後の裁判にも彼女は顔を出すことは無かった。 正直、俺はホッとしていた。 人を殺めたのだ。それが当前だと思った。どうしてこんな俺が彼女を幸せにしてやれるというのか。俺にはそんな資格など無いのだ。 俺は、刑務所に離婚届を取り寄せてもらい、判を押して妻へと一方的に送りつけた。 しかし、その後も連絡はなく、なしのつぶてだった。
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