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その場所にある筈のアパートは既に取り壊され、小さな公園に姿を変えていた。
俺は呆然として、その入り口に立ち尽くした。
たまたま傍を通りかかった婆様に尋ねた所、3、4年前の火事でこの辺りのアパート数棟が焼け落ちて、死者も数名出たことから、そのまま市役所が土地を買い取り、貯水池を兼ねた公園に造成されたのだという。
こういうこともあろう事は予め理解していた。
そりゃあ、映画の中の筋書き通りにいけばなんて、むしのいい話さ。
だが、実際にこんな有り様を目の当たりにしてみると、心の支えを失ったショックはやはり大きくて、公園の中のベンチに腰掛けたまま、動けなくなってしまった。
これが俺の犯した罪に対する深い業だ。
刑務所なぞに多少務めたところで、赦される筈もない。
俺の中には、本当にもう何もない。全く何も残っておらず、空っぽだった。
虚ろに放心して、言葉すら失った。
そして知らず知らずの内に、涙が筋となって頬を伝っていた。
いわゆる悲しみや悔恨の涙ではなく、もうどうでもよくなってしまった自分という人間への憐憫の涙だった。
拭う気も起こらず、しばらくそこに座り続けていた。
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