姉 祥子の物語 《今宵、ただ一夜》

5/12
78人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
「御酒を召されていたのですか。 意外です、お酒は好かぬ方かと 思うておりました」 軍服のボタンを 3つまで開けられた胸元に、 そ、っと指の先を 這わせてみせますと、 奏一様はごくわずかに、 しかし確かに ぴくりと身を震わせました。 ―――かわいい。 そのままそっと頬を寄せますと、 奏一様は小さく「やめなさい」 とおっしゃる。 私はやめるどころか、 身じろぎもなさらないご様子に しびれを切らして、 奏一様があちらを向いている隙に 一枚、また一枚と薄絹を脱ぎ捨て、 ついに一糸まとわぬ姿になりました。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!