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退院する日、悠介が迎えにきてくれた。
悠介のいる前で医者から『催眠療法を受けてみませんか』と言われた。
『よくなるならやってみたら?俺付き添うし』なんて言葉が悠介から聞こえて俺は断った。
原因なんて自分でよくわかってる。
きっと悠介に言えたなら少しは改善するんだろう。
言えないから辛いんだ。
それを自分の意思と関係なしに伝わるなんてこと出来るわけがない。
「早く治るかもしれないのに。やんないの?」
「うん。自分のことは自分がよくわかる。」
そう言うと悠介はそれ以上なにも言わなかった。
2年と数ヶ月、見ない間に風景が少し変わっていた。
アパートは変わらずだったけれど、中に入ると綺麗に片付いていた。
「悠介、掃除ちゃんとやってるんだね。」
「俺だってやれば出来るんだ。」
辛い気持ちは押し込めて、今は会話を楽しむことにした。
夕食を悠介が作るというから少し楽しみな反面不安もあった。
悠介に料理が出来るのかな。
テーブルに並べられた料理は不安を完全に消してくれるほどの本格的なものだった。
味・・・が問題・・・だよね。
見た目はすごい。
一口食べてみるとかなり美味しかった。
「美味しい。悠介すごい。」
前は俺が家事全般をしていた。
悠介は自分で料理をしたり、片付けたりはしない人だった。
俺がやっちゃったから自分でやらなくていいって思ってたのかな。
「よかった。これなら食べられそうかなと思ったんだ。」
俺を気遣ってくれることが嬉しかった。
結局全てが悠介に左右されてしまうんだ。
俺の全ては悠介が中心だから。
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