第1章

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俺はその日、決意したんだ。 現実に戻れるとしたら一人旅をしてみようと。 だから、起きてみようかと思ったんだ。 でも、長く眠り続けた俺はどうしたら起きられるかわからなくなっていた。 どこが現実だったかな。 今日も誰かがいるのはわかるんだ。 まだ少し怖いけれど、いつまでもこのままってわけにもいかない。 ずっとわかってはいたんだ。 逃げているだけだって。 もう幸せな夢は十分だよ。 きっと俺は大丈夫。 気合を自分に入れてみた。 決意をして、目を開けてみようと思ったんだ。 だから、聞こえた声にやっぱり俺は夢の中にまた戻っているのかと思った。 微かに遠くで聞こえてくるような声だけど、俺が間違うはずがないんだ。 悠介…。 俺を好きだと言った気がする。 やっぱりこれは新しい夢かな? 手が頭にある。 温かい…。 唇に落とされたキスは今までより優しく、長かった。
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